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Your search : [ author:蔣子竜 え·許彦博] Total 8 Search Results,Processed in 0.105 second(s)
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1. 万華鏡〈1〉
うちの工場の運転手が二人、自由市場で屋台店を始めた、それも正門前で。国営製鋼所の幹部は頭をかかえる。一世の中広くて、いろんなことがあるものだ。それほど突飛なことは起こらないにしても、まあ複雑で、こみいったものだと言えよう。一九八〇年のある春の朝、第五製鋼所の正門前。一九七〇年代に建てられたこの新しい大工場は、農村経済繁栄の産物である自由市場にぐるりと取り巻かれていた。正面のレンガ塀にそって、近郊の
Author: 蔣子竜 え·許彦博 Year 1982 Issue 3 PDF HTML
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2. 万華鏡〈2〉
なにひとつとりえもなく青春を浪費したわたしが、一からやりなおすのがなぜ悪い?三大型トラック「解放」を運転して郊外へ出ていた解浄(シエチヨンは、やがて始業時間というころ工場の裏門から運輸隊に戻ってきた。まだ誰も来ていない。ひどく疲れたし、少し時間もあるので、このまま運転席でひと休みしようと思った。何といっても若い娘だ、トラックの練習というのは屈強の男でもネを上げそうになるくらいだから。もう一年になる
Author: 蔣子竜 え·許彦博 Year 1982 Issue 4 PDF HTML
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4. 万華鏡〈4〉
「うん、まあいいだろう。だが用心しろよ。解浄は変な八卦図みたいなものを持っていて、おれたちをバッチリ管理しているんだ」工場には宿直制度があって、各単位ごとに誰か一人、責任者が泊ることになっているが、解浄が運輸隊に来た日以来、隊長の田国福は体の具合が悪いとか、家に用があるとか言っては、しょっちゅうそれを副隊長の解浄におしつけている。隊に来た早々の、三日目の夜、宿直していた解浄は夜中の二時ごろ、電話の
Author: 蔣子竜 え·許彦博 Year 1982 Issue 6 PDF HTML
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5. 万華鏡(最終回)
「赤·橙·黄·緑―七色の万華鏡だよ人生は」九燃料庫の構内の一角に黒煙がうずまいている。火元はドラムかんを満載したトラックだ。はげしい音がして炎がどっと上がる。燃料庫の設備は全部自動化されていて作業員は少ない。何人かいる女子作業員は火勢におびえて、消火器さえ使えないありさまだ。誰かがこの火に水をかけたのか、火はますます燃えあがった。はじめは一つだけだったが、たちまち数個のドラムかんに引火した。熱によ
Author: 蔣子竜 え·許彦博 Year 1982 Issue 8 PDF HTML
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6. 万華鏡〈5〉
「やめてくれ!」もう何もごまかせない。劉思佳のひややかな心の防御線は完全に崩潰した。八解浄の予想どおり、工場から五十元の報奨金が出るからといって、この図は私が作りましたと名乗って出るような劉思佳ではない。依然そ知らぬ顔で沈黙をつづけている。今朝の更衣室の「会議」を解浄は全部知っている。ジェンピン屋のことで劉思佳がどういうふうにしたか、運転手たちの中にも、もう解浄に何でも話す者が出てきているのだ。解
Author: 蔣子竜 え·許彦博 劉生 Year 1982 Issue 7 PDF HTML
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7. 若い溶接工たち
悪平等の是正をめざし、奨励金制度が実施された。無政府主義の影響から脱皮しつつある職場を舞台に、青春群像の明暗をえがき、今日の職場、そして現実にいるさまざまなタイプの若者の姿を活写した小品。「坊主の水くみ、一人やったら自分でかつぐ。二人やったら、かいてゆく。三人になったら、もうあかん」これは中国の古いことわざで、三人になると、お前行け、お前行けで、誰も行かず、結局、水が飲めなくなってしまうということ
Author: 蔣子竜 Year 1980 Issue 4 PDF HTML
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8. 義姉と妹
「お兄さん、ちょっと……」「なんだい」巧燕の兄―鉄錘は、鍛造職場の事務室から出てきた。「趙春霞さんに会いたいの。あの人、わたしたちを追いこしたんだから、どんな腕前の持主なのか、お目通りねがいたいのよ。ちょっと呼んできてちょうだい」巧燕はいたずらっぽい目を兄に向けた。「いまちょっと会議中なんだ。口も足もあるんだから、自分で会いにいったらいいだろう」「わたしの口には安全装置がついていないから、あの人の
Author: 蔣子竜 え·費声福 Year 1973 Issue 9 PDF HTML